今回は2022年の全日本選手権にてランク入り(ベスト16)した女子選手の用具の考察をしていきたいと思います。
男子同様ランク入りした選手が使用している用具ですので、現環境において勝てる用具となります。
ランカーの用具が自身に合うとは限りませんが、傾向を知ることで用具選びの参考になるかと思います。

使用用具一覧
まずは各選手の使用用具一覧となります。
No. | 選手 | 分類 | メーカー | 製品名 | 詳細 |
1 | 伊藤美誠 | R | ニッタク | 伊藤美誠カーボン | ST |
F | ニッタク | ファスタークG1 | 特厚 | ||
B | ニッタク | モリストSP | 厚 | ||
2 | 早田ひな | R | ニッタク | 特注シェーク | FL |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | 不明 | 裏ソフト | |||
3 | 加藤美優 | R | バタフライ | インナーフォースレイヤーZLC | FL |
F | バタフライ | テナジー80 | 特厚 | ||
B | バタフライ | テナジー80 | 特厚 | ||
4 | 木原美悠 | R | VICTAS | ファイヤーフォールVC | FL |
F | VICTAS | V>15エキストラ | MAX | ||
B | VICTAS | VO>102 | 2.0 | ||
5 | 佐藤瞳 | R | ニッタク | 剛力男子 | FL |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | ニッタク | ドナックル(特注) | |||
6 | 大藤沙月 | R | バタフライ | 張本智和インナーフォースALC | FL |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | バタフライ | ディグニクス05 | 特厚 | ||
7 | 木村光歩 | R | ニッタク | アコースティック | ST |
F | ニッタク | ハモンドZ2 | 特厚 | ||
B | ニッタク | モリストSP | 中 | ||
8 | 長崎美柚 | R | バタフライ | インナーフォースレイヤーALC | FL |
F | バタフライ | テナジー05 | 特厚 | ||
B | バタフライ | ディグニクス05 | 特厚 | ||
9 | 南波侑里香 | R | ミズノ | フォルティウスFT | FL |
F | ミズノ | Q5 | 特厚 | ||
B | ミズノ | ブースターSA | 厚 | ||
10 | 平野美宇 | R | バタフライ | ビスカリア | FL |
F | バタフライ | テナジー05ハード | 特厚 | ||
B | バタフライ | テナジー05 | 特厚 | ||
11 | 石川佳純 | R | 不明 | 特殊素材シェーク | |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | 不明 | 裏ソフト | |||
12 | 森さくら | R | バタフライ | インナーフォースレイヤーALC | FL |
F | バタフライ | テナジー05ハード | 特厚 | ||
B | バタフライ | テナジー05 | 特厚 | ||
13 | 橋本帆乃香 | R | ニッタク | 剛力男子 | FL |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | 不明 | 粒高 | 薄 | ||
14 | 安藤みなみ | R | VICTAS | ZX-GEAR IN | FL |
F | バタフライ | テナジー05 | 特厚 | ||
B | アームストロング | アタック8L粒 | 中 | ||
15 | 柴田沙季 | R | 紅双喜 | キョウヒョウ龍5 | FL |
F | 紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 特厚 | ||
B | 紅双喜 | キョウヒョウ特注 | 特厚 | ||
16 | 野村萌 | R | XION | フィールZX Ⅲ | ST |
F | XION | オメガⅦ プロ | MAX | ||
B | VICTAS | VO>101 | 2.0 |
男子と比較し特定のメーカー、製品への偏りはなく様々な用具を使用しています。
次項で詳細を見ていきます。
ラケット使用状況
ラケットのみを抽出して見てみます。
メーカー | 製品名 | 合板構成 | 使用数 |
ニッタク | 剛力男子 | 7枚合板 | 2 |
バタフライ | インナーフォースレイヤーALC | インナー | 2 |
VICTAS | ZX-GEAR IN | インナー | 1 |
VICTAS | ファイヤーフォールVC | インナー | 1 |
XION | フィールZX Ⅲ | アウター | 1 |
ニッタク | アコースティック | 5枚合板 | 1 |
ニッタク | 伊藤美誠カーボン | アウター | 1 |
ニッタク | 特注シェーク | 不明 | 1 |
バタフライ | インナーフォースレイヤーZLC | インナー | 1 |
バタフライ | ビスカリア | アウター | 1 |
バタフライ | 張本智和インナーフォースALC | インナー | 1 |
ミズノ | フォルティウスFT | 7枚合板 | 1 |
紅双喜 | キョウヒョウ龍5 | インナー | 1 |
不明 | 特殊素材シェーク | 不明 | 1 |
種類が多いので大まかな分類ごとに見ていきます。

インナーの使用率が約4割と多く、7枚合板、アウターと続きます。
アウターもALCやFEカーボンとカーボンの中では比較的球持ちの良い物でした。
男子同様に弾みがありながら球持ちが良いラケットが選ばれている傾向にあります。
ラバー使用状況
続いて使用ラバーについて見ていきましょう。
16名、合計32枚のラバーの使用状況はこんな感じです。
メーカー | 製品名 | 分類 | 使用数 | 使用率 |
紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 裏ソフト(粘着) | 6 | 19% |
バタフライ | テナジー05 | 裏ソフト | 4 | 13% |
ニッタク | モリストSP | 表ソフト | 2 | 6% |
バタフライ | ディグニクス05 | 裏ソフト | 2 | 6% |
バタフライ | テナジー05ハード | 裏ソフト | 2 | 6% |
バタフライ | テナジー80 | 裏ソフト | 2 | 6% |
不明 | 不明 | 裏ソフト | 2 | 6% |
VICTAS | V>15エキストラ | 裏ソフト | 1 | 3% |
VICTAS | VO>101 | 表ソフト | 1 | 3% |
VICTAS | VO>102 | 表ソフト | 1 | 3% |
XION | オメガⅦ プロ | 裏ソフト | 1 | 3% |
アームストロング | アタック8L粒 | 粒高 | 1 | 3% |
ニッタク | ドナックル(特注) | 裏ソフト | 1 | 3% |
ニッタク | ハモンドZ2 | 裏ソフト | 1 | 3% |
ニッタク | ファスタークG1 | 裏ソフト | 1 | 3% |
ミズノ | Q5 | 裏ソフト | 1 | 3% |
ミズノ | ブースターSA | 表ソフト | 1 | 3% |
紅双喜 | キョウヒョウ特注 | 裏ソフト(粘着) | 1 | 3% |
不明 | 不明 | 粒高 | 1 | 3% |
こちらも種類が多いので大まかな分類ごとに見ていきます。

裏ソフトで約8割、表ソフトと粒高を合わせて2割の使用率となっております。
粘着ラバーも約2割と使用率も増えてきている印象です。
製品ごとに集計するとこんな感じです。

テナジーやディグニクスを抑え、キョウヒョウ3国狂ブルー(紅双喜)の使用率がトップとなりました。
キョウヒョウ3国狂ブルーは早田ひな選手や石川佳純選手などが使用しております。
フォア面に使用のラバー
続いてはフォア面のみの結果を見ていきましょう。
メーカー | 製品名 | 使用数 | 使用率 |
紅双喜 | キョウヒョウ3国狂ブルー | 6 | 38% |
バタフライ | テナジー05 | 2 | 13% |
バタフライ | テナジー05ハード | 2 | 13% |
ミズノ | Q5 | 1 | 6% |
VICTAS | V>15エキストラ | 1 | 6% |
XION | オメガⅦ プロ | 1 | 6% |
バタフライ | テナジー80 | 1 | 6% |
ニッタク | ハモンドZ2 | 1 | 6% |
ニッタク | ファスタークG1 | 1 | 6% |

フォア面は全員が裏ソフトを使用しており、キョウヒョウ3国狂ブルーが約4割で最も使用されています。
他のキョウヒョウと比べ柔らかくて、球威と扱いやすさのバランスが取れたラバーとなります。
プラボールの影響か女子でもキョウヒョウやテナジー05、Q5など回転を重視したラバーが選ばれる傾向にあります。
バック面に使用のラバー
続いてはバック面のみの結果を見ていきましょう。
メーカー | 製品名 | 使用数 | 使用率 |
バタフライ | ディグニクス05 | 2 | 13% |
バタフライ | テナジー05 | 2 | 13% |
ニッタク | モリストSP | 2 | 13% |
VICTAS | VO>101 | 1 | 6% |
VICTAS | VO>102 | 1 | 6% |
アームストロング | アタック8L粒 | 1 | 6% |
紅双喜 | キョウヒョウ特注 | 1 | 6% |
バタフライ | テナジー80 | 1 | 6% |
ニッタク | ドナックル(特注) | 1 | 6% |
ミズノ | ブースターSA | 1 | 6% |
不明 | 不明(裏ソフト) | 2 | 13% |
不明 | 不明(粒高) | 1 | 6% |

女子ではバック面も裏ソフトで両ハンドドライブをするタイプと表や粒を貼り変化をつけるタイプの2極化となりました。
裏ソフトではディグニクス05やテナジー05など回転重視のラバーが選ばれています。
まとめ
今回は全日本選手権でランク入り(ベスト16)した女子選手の使用用具を考察しました。
男子同様ラケットでは弾みと球持ちのバランスの良いラケットが選ばれている傾向にあります。
裏ソフトではフォアバック共に回転重視のラバーが選ばれており、変化をつけるためバック面に表や粒高を貼っている選手も多数いました。
プラボールではスピードが出しにくいので、最低片面は強い回転を掛けられる用具の方が現環境において有利な組み合わせなのかも知れません。
ピッチの早さでパチパチ打ち合うよりも、ドライブをしっかり掛けてボールの重さで勝負するスタイルが増えてきていると感じました。